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内科、消化器内科、内視鏡検査、漢方診療、消化器病ドックの湘南茅ヶ崎クリニックです。

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消化管の病気について


  日常の診療でよく遭遇する、上部消化管(食道〜胃〜十二指腸)と下部消化管(大腸)の代表的な病気について
  解説します。

上部消化管の病気  

  • 胃食道逆流症、逆流性食道炎

    胸やけ、胸のつまる感じ、酸が上がる感じ、食欲が無い、口の中が苦く感じる、など多彩な自覚症状があります。
    胃食道逆流症(GERD)は、内視鏡の所見で食道粘膜に炎症を認める逆流性食道炎(Reflux Esophagitis)と、
    炎症の無い非びらん性胃食道逆流症(Non-Erosive Reflux Disease)に分類されます。
    原因としては、大体以下の3点が考えられています。
    @ 胃と食道の間にある、食道括約筋の機能が悪くなっている
    A 高脂肪食や毎日の飲酒などにより、胃酸の分泌が多くなっている
    B 食道から胃に食べ物を送り込む動き(蠕動運動)が低下している

    <胃食道逆流症の分類>
    内視鏡の所見で、下図のように進行度の分類があり、最も一般的なロサンゼルス分類で表記します。
    grade N:内視鏡的に変化を認めないもの
    grade M:色調変化型(minimal change)
    grade A:長径が5mmを超えない粘膜障害のあるもの
    grade B:少なくとも1ヵ所の粘膜障害の長径が5mm以上あり、それぞれ別の粘膜ヒダ上に存在する粘膜障害が
         互いに連続していないもの

    grade C:少なくとも1ヵ所の粘膜障害は2条以上の粘膜ヒダに連続して広がっているが、全周の3/4をこえない
         もの。

    grade D:全周の3/4以上にわたる粘膜障害

    GERDN GERDM GERDA GERDB GERDC GERDD
      grade N    grade M    grade A    grade B    grade C    grade D

    <逆流性食道炎の治療 >
    基本的には薬による内服治療が中心です。
    @ 胃酸分泌抑制薬 :PPI(プロトンポンプ阻害薬)やH2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)
    A 消化管運動機能改善薬 :食道〜胃〜十二指腸の食物の流れを改善させます。自覚症状の程度により
                漢方薬を使用することもあります。
    B 粘膜保護剤 :胃酸の中和作用のあるものや、食道粘膜にはりつく液状の保護剤などを内服します。


  • 胃炎胃・十二指腸潰瘍

    胃炎は急性に発症するものと慢性的に進行するものがあります。急性胃炎として代表的なものに、急性
    出血性びらん性胃炎があります。原因はストレス、ウイルス感染、非ステロイド性抗炎症薬、高濃度の
    アルコール摂取、強酸や強アルカリの化学薬品誤飲など、さまざまなものがあります。胃粘膜の急性炎症
    により粘膜が脱落し、強い腹痛や嘔吐、場合により吐血することがあります。このような激しい症状のと
    きに内視鏡観察すると、血液付着と粘膜の浮腫(むくみ)があり、浅い胃潰瘍かびらんの区別がつかないこ
    とがあり、このような病態をAGML(急性胃粘膜病変)とよびます。

             胃潰瘍


    慢性に進行する胃炎の代表が、ヘリコバクター・ピロリ菌感染による慢性胃炎です。ピロリ菌の初感染時
    は急性胃炎の症状が出ることがありますが、成人の初感染は慢性化しにくいといわれています。
    慢性胃炎の初期(表層性胃炎)は、粘膜の炎症を起こしている部分は点状や線状の発赤が見られます。
    さらに炎症が進むと炎症後の胃粘膜が薄くなり、粘膜下の血管が透けて見えるようになります。
    この状態が(慢性)萎縮性胃炎です。慢性萎縮性胃炎にはA型胃炎という自己免疫性胃炎もありますが、胃の
    粘膜の萎縮変化の広がり方がピロリ菌感染の慢性胃炎と異なるので、内視鏡所見で判別できます。

    胃・十二指腸潰瘍は、上図の通り粘膜下層以下に欠損が及んだ状態となります。ヘリコバクター・ピロリ菌
    感染が最も多い原因とされています。その他、非ステロイド性抗炎症薬やステロイド薬などによる薬剤性、
    ストレス性によるものもあります。潰瘍の発症時は、腹痛や吐き気、吐血が必ずしもでるとは限りません。
    なんとなく食欲が無い、食後のお腹のもたれが徐々に強くなるということもあります。潰瘍から出血している
    時、多量の場合は新鮮〜赤黒色血液の吐血や下血となりますが、持続的または間欠的に少量出血しているとき
    は、黒色の便(タール便)で見られます。潰瘍からの出血で貧血が進行すると、息切れや疲労感が出てくるので、
    この症状を訴えて初めて受診する人もいます。

    <胃炎の治療>
    急性胃炎:自覚症状・内視鏡所見により、胃酸分泌抑制剤と胃粘膜保護剤を組み合わせて投与します。
    慢性胃炎:ピロリ菌感染性慢性胃炎は、第一に除菌治療となります。ただし、抗生剤内服で下痢をしやすい
         人は除菌が難しい場合があります。萎縮性胃炎が進行して胃の動きが悪くなり、もたれ感が出る
         時は、消化管運動機能改善薬を投与します。

    <胃・十二指腸潰瘍の治療>
    大量出血している急性出血性胃十二指腸潰瘍は、内視鏡による止血術を行います。内視鏡で止血しきれない
    太い血管からの出血の時は、輸血や多量輸液で血圧を保たせながら緊急開腹手術やIVR(血管内手術)での治療
    となります。潰瘍穿孔(壁に穴があいた)で腹膜炎を併発しているときも緊急開腹手術となります。それ以外の
    病状の潰瘍は、内視鏡所見の程度により胃酸分泌抑制薬を基本薬として投与・治療します。


  • 機能性ディスペプシア

    機能性ディスペプシア(FD:Functional Dyspepsia)とは、腹痛や胃もたれなどのさまざまな症状が慢性的に続いて
    いるにもかかわらず、内視鏡検査などを行っても胃・十二指腸潰瘍や癌などの粘膜異常が認められない病気です。
    症状が長期間続くことにより、食欲低下・体重減少をきたし、生活の質が大きく低下してしまいます。
    主な症状は、
      @ 食後のもたれ感がつらい
      A 食事開始後、すぐに食べ物で胃がいっぱいになる感じがして、それ以上食べられない
      B みぞおちの痛み
      C みぞおちの焼けるような感じ
    というものです。
    従来これらの症状に対して「慢性胃炎」や「神経性胃炎」などの病名がつけられていました。そもそも胃炎とは、
    胃粘膜に炎症が起きている状態を表すものですが、胃炎があっても自覚症状が全くない人、自覚症状があっても
    胃炎が全く認められない人もいます。そこで、自覚症状があり内視鏡検査などで調べてもそれを説明できる異常
    が認められない場合、胃に炎症が有る無しにかかわらず「機能性ディスペプシア」とよばれるようになりました。
    現在、機能性ディスペプシアの診療ガイドラインが作成されており、2014年春に完成予定となっています。

    <機能性ディスペプシアの治療>
    上記の@、Aの症状が強い時は、消化管運動機能改善薬のモサプリドクエン酸塩、トリメブチンマレイン酸塩、
    イトプリドや、漢方薬(体の証にあわせて六君子湯、人参湯、安中散、当帰湯など)を使用します。
    B、Cの症状が主体の時は、胃酸分泌抑制薬のプロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーが使われることが
    多いです。胃痙攣様の痛みには、内臓の副交感神経の刺激を弱めるブチルスコポラミンや、胃粘膜の麻酔作用
    があるオキサゼインを使用します。これらの薬で痛みがとれないときは、芍薬甘草湯の内服が著効する場合が
    あります。


  • 胃ポリープ

    胃ポリープは上皮性非腫瘍性隆起病変の総称で、過形成性ポリープと胃底腺ポリープに大別されます。
    胃底腺ポリープは、胃酸分泌細胞(壁細胞)の分布する胃底部から胃体部にかけて単発または多発します。
    遺伝性の家族性大腸ポリポーシス(FAP)の患者に生ずる多発性胃底腺ポリープは「症候性胃底腺ポリープ
    (syndromic FGP)」と呼ばれています。胃底腺ポリープは癌化しないポリープとされています。
    過形成性ポリープは、ピロリ菌感染による胃の慢性炎症が発生に関与している可能性がある、といわれて
    います。過形成性ポリープのある慢性胃炎に対しピロリ菌除菌療法を行うと、ポリープが小さい場合は、
    それが縮小または消失することがあります。大きさが1〜2cmを超える過形成性ポリープは表面の炎症が
    強くなると出血しやすくなるので、貧血の原因となっている場合は内視鏡的切除の対象となります。また、
    2cmを超えると癌化が4〜8%の率でみられるので、積極的な切除が勧められます。


    下部消化管の病気

    • 大腸ポリープ

      大腸 ポリープは粘膜の隆起性病変の総称であり、炎症性・過形成性・腫瘍性があります。大腸ポリープは
      大きく出血しやすいもの以外は自覚症状が出ることは無いので、健康診断の便潜血検査で陽性になり、
      大腸内視鏡検査を受けて診断されることがほとんどです。
      炎症性ポリープは、潰瘍性大腸炎やクローン病、感染性腸炎が治る過程で発生します。潰瘍性大腸炎と
      クローン病にできる炎症性ポリープは、比較的正常または過形成の炎症性粘膜の島(偽ポリープ)が、潰瘍
      のできた粘膜の上に飛び出している形態をとります。
      過形成性ポリープは直腸に発生することが多く、遺伝子が変化した「腫瘍」であることがわかっています。
      最近は、過形成ポリープはSerrated Polyp(SP)と呼ばれています。そしてSPの中には、癌化のリスクの
      低い物(HP:Hyperplastic Polyp)から癌化リスクの非常に高い物(SA:Serrated Adenoma)があると認識
      されています。SPはサイズが10oを超えると発癌リスクは腺腫と同じと考えられているので、内視鏡的
      切除の対象となります。
      腫瘍性ポリープは、悪性の癌と良性の腺腫に分けられます。腺腫は、組織型により腺管腺腫(せんかんせんしゅ)、
      腺管絨毛腺腫、絨毛腺腫(じゅうもうせんしゅ)に分類されます。組織の型によりポリープの形や癌になる
      確率は多少変わりますが、切除が必要です。腺腫の直径が1cmを超えた場合、急激にがんを含む可能性が
      高くなることがわかっており(下図参照)、これは日本に限らず世界中の調査でも同じ現象が認められています。


               大腸ポリープ


      腺腫は、ある期間同じ大きさにとどまり、段階的に増大していき、一直線に大きくなることはないようです。
      その理由はよくわかっていませんが、遺伝子の変異とも関係しているのではないかと考えられています。
      よく知られているように、がんはがん遺伝子やがん抑制遺伝子など、複数の遺伝子の異常が積み重なって起る
      病気です。下図のように遺伝子が傷ついて変異を起こすにつれて、正常の組織から腺腫、さらにがんへと進展
      していくと考えられています。おそらく腺腫の段階的な増大も、こうした遺伝子の変異と大きく関係している
      可能性があります。つまりひとつの遺伝子が傷つくと増大のスピードが増し、また次の遺伝子が傷つくと次の
      増大が始まるという具合です。


              大腸がん

      ポリープの状態の診断は、切除した標本の病理検査で最終的に行います。大腸がん取り扱い規約で分類
      されるグループ1から5で表記されます。
              グループ1:正常
              グループ2:炎症性変化
              グループ3:腺腫性で軽度、または中等度の異型=腺腫
              グループ4:腺腫性で高度の異型またはがんを疑うもの=腺腫とがんの一部
              グループ5:明らかながん


      <切除の必要なポリープは?>
      以前は、腺腫は前がん状態であるとみなして、全ての腺腫が発見され次第摘出されていました。しかし現在
      では、腺腫でもがん化の危険度の高いものにしぼって選択的に摘出するという考えに変わってきています。
      日本では平均5o以上の大きさのポリープが摘出の対象とされています。5o未満のポリープは経過観察で
      よいと考えられていますが科学的な根拠はありません。平坦型で陥凹のあるものや、形がいびつであるなど
      特殊なタイプのものは、5o未満でも発見され次第摘出されます。
      一方で発見したポリープは全て摘除するという考え方もあります。理由は発見したポリープが「がんになる、
      ならない」ということのみならず、「小さなポリープまですべて取り除いた後は大腸内視鏡を毎年受けなく
      てもよくなる」という考え方に基づいています。


    • 潰瘍性大腸炎

      潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患で,1973年より厚生労
      働省の特定疾患治療研究対象疾患(難病)のひとつに指定されています。
      潰瘍性大腸炎と診断された場合、保健所で決められた手続きをとると特定疾患医療給付制度が適応され、医療費
      の援助を受けることができます
      特徴的な症状としては、下血を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛です。病変は直腸から連続的に、そして
      上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。この病気は病変の拡がりや経過などに
      より下記のように分類されます。

        @ 病変の拡がりによる分類:全大腸炎型、左側大腸炎型、直腸炎型
        A 病期の分類:活動期、寛解期
        B 重症度による分類:軽症、中等症、重症、激症
        C 臨床経過による分類:再燃寛解型、慢性持続型、急性激症型、初回発作型

      <腸管合併症>
      大腸からの大出血、穿孔、中毒性巨大結腸症などがあり、病状がきわめて重篤な場合に起こりますが、めったにみられません。
      <腸管外合併症>
      結節性紅斑、壊疽性膿皮症などの皮膚症状、結膜炎や虹彩炎などの眼症状、関節痛、関節炎などがあります。ほかにも、口内炎、膵炎、肝機能障害、肺機能障害などが起こることがあります

      <潰瘍性大腸炎の治療>
      潰瘍性大腸炎の治療の中心はペンタサ・サラゾピリンに代表される5−アミノサリチル酸製剤とステロイド製剤に
      なります。また炎症が直腸やS状結腸中心の場合には注腸療法や座薬を用いることもあります。重症例では入院の
      上ステロイドを点滴で行う治療法が中心になります。 また再燃を繰り返す場合、ステロイド療法が効果が認めら
      れない場合には免疫調節剤、血球成分吸着・除去療法(GCAP,LCAP)が行われます。内科治療が効果がない場合には大腸全摘術を行います。






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